やらないとやばい。介護職員が虐待を疑われないように身を守る方法。ブラックボックスと言わせるな。

虐待と言われないために

・介護施設に勤めているけど、虐待を疑われたらどうしよう。
・虐待を疑われた時に、きちんとした対応をしていたと説明するためにはどうしたらいい?
・そもそも虐待を疑われないようにするためにはどうしたらいいの?

今回はこんな悩みを解決します。

介護サービスを行う上で、人権の尊重や虐待防止は必ず耳にする言葉ですよね。

また、働いている人達は日々の業務の中で、いろいろな事態に遭遇する中、適切に対応しようと努めていることと思います。

しかし、時には原因不明の傷や内出血、不調などから虐待を疑われてしまうようなケースが起きてしまうことがあるのも事実。

今回はそういった際に、きちんと対応をしていたことを証明し、自分の身を守るための方法を紹介します。

私は、特養や短期入所を併設している施設のデイサービスで10年以上働いています。

施設として、いろいろな部署がある中で得た情報や経験から役にたつ情報を発信していきます。

目次

虐待を疑われないよう身を守る方法

  • ご利用者さんの状態を把握する。
  • 自分が把握した状態を記録として残す。
  • 同僚や上司に状態の報告を行い情報共有。
  • 職場内での今後の対応を考える。
  • ご家族やキーパーソン、ケアマネへ報告を行う。

虐待を疑われないように身を守るために、これだけはやっておかないといけません。

細かいことを言うと「これもやっておいたほうがいい」といった事柄や、ご利用者さんや家族からの希望や関係性の構築状況で求められる内容は変わってくる場合もあります。

しかし、最低限ここで紹介することはできていないと、虐待を疑われるケースにつながってもおかしくありませんし、虐待を疑われた場合に自分の身を守ることができなくなってしまいます。

ご利用者さんの状況の把握に始まり、職場内での情報の共有、その上で家族やケアマネ、併用して使用しているサービス事業所や、かかりつけ医など、必要な機関への情報発信を行っていきましょう。

せっかく、しっかりした記録をとっていても家族などに必要な報告を行っていなかったら…

「なんで知っていたのに教えてくれなかったんだろう。何かあるのでは?」と思われてしまいます。

そうならないために、密に連携をとり信頼関係を築いておくことが大変重要です。

ご利用者さんの状態を把握し、記録する。

紙とペン

まずは、ご利用者さんの現在の状態を把握していないことには話が始まりません。

何かあった時に「わかりません」では、相手が納得するはずもなく、憤慨させてしまったり不信感を抱かせる原因となってしまいます。

そうならないためにも、日頃からご利用者さんの状態をきちんと把握し、更に記録として残しておきましょう。

ご利用者さんの状態を把握する

  • 基本情報の確認
  • ケース記録の確認
  • 他職員との情報共有
  • 自分自身がご利用者さんと関わる

ご利用者さんの状態を把握しましょう。

どんな状態だったのかがわからないとご利用者さんの変化に気づくことができません。

そのために、既往歴や身体的な特徴など基本情報を確認。

基本的な情報が確認できたら、個人記録から最近の状態を把握します。

最近の状態として基本情報と違うところはないか。

記録で気になる点が見つかった場合には他の職員に確認をしておくことも大事です。

ここまでを踏まえた上で実際にご利用者さんと関わり、「身体的な変化はないか?」「気持ちの部分での変化はないか?」ということの把握ができてきます。

把握している状態を記録として残しておく

  • バイタルの数値
  • 数値に出ないような体調のサイン(表情や活気)
  • 目にみえてわかる体調の変化
  • 体調変化時に行った対応の内容
  • 内出血や傷の有無および発見時の処置や対応の内容
  • その日の過ごしの状態

こういったものは特に記録として残しておく必要があります。

また、関わりの中で「普段と違うな」と思ったことを記録として残しておくことも重要ですね。

大事なのは【変化に気づく力】と【きちんと記録に残しておくこと】

どちらでも欠けているとご利用者さんの状態を【正確に】把握しておくことができなくなってしまいます。

同僚や上司に逐一報告し、対応の相談や指示を仰ぐ

ベッドから落ちる高齢者

状態の把握ができたら、同僚や上司に報告をしましょう。

同僚や上司への報告の内容

  • ○○さん、最近血圧が高いことが多い。
  • ○○さん、今日はなんだか表情が険しい。
  • ○○さん、お食事をあまり召し上がらない。
  • ○○さんの腕に内出血ができている。

体調面の変化や内出血、傷などについては早めに確実な報告が必要です。

報告を遅れると、いつからだったのかということが曖昧になってしまいますし、最悪の場合は「知っていたのに報告しなかった。」と責任の問題や「あの人がやったんじゃないか?」と疑惑に繋がってしまうことになりかねません。

そして、報告の内容が曖昧だと、「きちんと見ていなかったのか」となる可能性もありますので、報告はしっかりと行いましょう。

対応方法の相談や上司からの指示を仰ぐ

報告を行ったその時点からの対応方法について指示を仰ぎます。

何かしら発見した事柄について、何か行動をするのかそのまま様子観察とするのか、家族連絡は必要なのか誰がするのかといった点について上から指示をもらって対応ができるといいですね。

指示を受けた場合は、指示を受けたこととそれを行ったことも合わせて記録として残しておきましょう。

いざという時に上司が「そんなことは言っていない。勝手に対応した。」と言う可能性もありますから…

利用者の家族やキーパーソンに逐一報告する

電話する介護士

同僚や上司と相談して、ご家族やキーパーソンへの報告が必要と判断した場合には速やかに報告をします。

家族やキーパーソンへの報告内容

重要となってくるのは以下の内容

  • ご利用者さんの心身の状態
  • いつからその状態なのか
  • そうなった原因は何なのか
  • その状態に対してどう対応するのか

最低限かつ最重要なポイントとなっていますので、報告前にきちんと内容や手順をまとめておきましょう。

頭の中で組み立てができる場合は良いのですが、自信のない場合や細かい説明が必要なケースの場合はメモを用意して、確認を行いながら説明をする方が説明漏れのリスクは軽減されます。

報告例

上のリストに沿った報告の例としては…

「○○さんの左の上腕内側に○cmくらいの内出血ができているのを、本日午前6時にお部屋から出て来られた際に発見しました。。」

「昨日の夜22時頃にお手洗いに行こうと歩かれている時にフラついたため、職員がとっさに腕を掴んだ。ということがありましたので、それが原因だと考えられます。」

「痛みの訴えや、腕の動きへの支障は見られませんので、経過の観察を行います。」

「とっさのこととはいえ、申し訳ありません。状態の変化などあれば、またご連絡いたします。」

このように報告を行います。

通院の必要があればそれを伝え、通院することへの了承や付き添いを依頼したりと、細かい報告内容の説明や謝罪の仕方はその時の状況で工夫が必要です。

また、細かい説明を求められた際にも慌てず丁寧に対応することを心がけましょう。

焦った結果の曖昧な説明は不信感につながります。

職場内や家族との連携、信頼関係が大事

チームワーク

虐待はあってはならないことですが、小さな不信感から可能性を疑われたり、大きな問題となってしまうことも少なくありません。

そんな時に身を守る方法として大事なのは、職場や家族をはじめとした、要介護者を取り巻く人たちへの情報伝達です。

介護技術がいくら進歩しても、やはり人と人との関わりであることに決して変わりはありません。

忙しい業務の中、細かいことを伝達し合うのは本当に大変ですが…

ご利用者さん・ご家族・職場内・関係各所への関わりをしっかりと行い信頼関係を築いておくことで、虐待を疑われることへの予防や、万が一疑われてしまった際に身を守ることにつながります。

自分の身はしっかりと守りながら、ご利用者さん・ご家族にとって満足のいく介護を目指しましょう。

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